読者の皆さまは、これまでに心理学を学んだことはありますか?
お恥ずかしながら、私はこれまで、心理学を体系的に学んだ経験はありませんでした。
セールスの仕事に携わるようになり、「人はなぜそのような行動をするのか」「なぜ同じ状況でも反応が違うのか」といった疑問を持つようになったことがきっかけで、はじめて心理学に触れてみようと思いました。
そこでたまたま知ったのが、有名なアドラー心理学です。
物事の捉え方には「原因論」と「目的論」という、正反対ともいえる2つの考え方があり・・・
・・・と聞くと、なんだか一気に難しそうですよね笑。
私も最初は「う~ん・・・よく分からない」となりました。
でも、キングダムの登場人物たちの行動に当てはめて考えてみると、驚くほどスっと理解できたんです。
この記事では、アドラー心理学の中でも特に重要な「目的論」を、キングダムの世界を通じて分かりやすく紹介していきます。
「心理学は正直よく分からない」「アドラー心理学を気軽に学びたい」「難しいことはおいといてキングダムが好きだ」
そんな方は、ぜひ気楽な気持ちで、最後まで読み進めてみてください。
原因論と目的論
まず、原因論と目的論を簡単にまとめると以下のようになります。
具体的な例で説明すると以下のようになります。
~例① 人前で話すのが苦手な人~
フロイト的(原因論)な説明は、こうなります。
- 子どもの頃、発表で失敗した
- 先生やクラスメイトに笑われた
- その体験が心の傷(トラウマ)として残った
- その結果、大人になっても人前で話すことに強い恐怖を感じる
つまり、
「過去の失敗体験が原因で、今も人前で話せない」
という説明になります。
一方、アドラーの目的論では、次のように捉えます。
- 本人は「失敗したくない」「評価を下げたくない」という目的を持っている
- その目的を守るために、あえて人前で話さない、目立たないという行動を選んでいる
つまり、
「話せない」のではなく
「話さないことで、自分を守る」という目的を達成している
という見方です。
これは同じ事実「人前で話さない」という行動でも、解釈が真逆なことを表していますね。
- フロイト: 過去の失敗が原因
- アドラー: 今の目的(傷つかない・評価を下げない)を果たすため
~例② 上司に叱られ涙する部下
たとえば、仕事でミスをした部下が、上司に注意され泣き出したとします。
原因論では、こう説明されます。
- 厳しく叱られた
- 精神的なショックを受けた
- 感情が抑えきれなくなった
- その結果、涙が出てしまった
つまり、
「強いストレスや叱責が原因で、感情があふれて泣いてしまった」
という理解です。
この見方では、涙は無意識に起こった反応であり、本人に選択の余地はほとんどないように感じられます。
一方、アドラー心理学目的論では、こう考えます。
- これ以上強く叱られたくない
- 責任追及を避けたい
- その場を早く終わらせたい
その目的を達成するために、「涙を流す」という行動が選ばれている、というわけです。
ここでのポイントは、
泣くことで状況が変わることを本人は知っている
という点です。
たとえそれが無意識であっても、アドラー心理学では「行動には必ず何らかの目的がある」ことを前提とします。
実際、泣くことによって、
- 叱責が弱まる
- 責任追及が終わる
- その場が早く収まる
といったことも、決して少なくありません。
この意味で、涙は自分を守るための合理的なコミュニケーション手段とも言えるのです。
このように、アドラー心理学が衝撃的なのは、行動の原因、つまり変えられない過去ではなく、
「今、何を目的として行動しているのか」に焦点を当てている点にあります。
一般論的なことはこれぐらいにして、いよいよ、キングダムをベースにして、原因論と目的論を考察していきます。
原因論と目的論を学ぶキングダムの代表例 ~万極~
万極の目的は虐殺であると河了貂に見抜かれる <引用:キングダム 28巻>
万極は幼少期に秦軍の侵攻で、趙の民40万人が虐殺される地獄を目撃した。
家族も仲間も皆殺しにされ、生き残った自分だけが呪いのように残ったことで、彼の心は完全に崩壊・・
以後、万極は趙軍の将として復讐のためだけに生きる存在となる。
彼の虐殺的な戦い方は、かつて秦が趙に行った大虐殺をそのまま返すという歪んだ因果の表れで、まさに原因論で行動する代表だ。
万極自身が“怨念の化身”となり、秦への報復を生きる理由にしている。
万極は過去の因縁を原因として、無実な民も殺してしまうことを正当化しています。
長平の大虐殺で、秦に恨みを持っている超民や超兵は多いと思いますが、すでに数十年が経過しています。
もし、万極の原因論が正しいのでならば、無実な秦の民を殺めてもよいということになります。
目的論で考えると、万極は残虐をすることで、自分の存在意義を示すことを目的としている可能性が高いですね。
見事、万極の本質を見抜く河了貂の描写もありました。
原因論と目的論を描くキングダムって本当にすごいですよね!
原因論と目的論を学ぶキングダムの代表例 ~桓騎~
初めは単なる残忍キャラとして登場した桓騎
<引用:キングダム 19巻>残虐する目的は桓騎が考えた弱者を守るためのものであった <引用:キングダム67巻>
桓騎は元野盗であることから、残忍行為するのだと、周囲は決めつけられていた。
原因論で捉えると「桓騎は元野盗だから、残虐行為をする」となるでしょう。
しかし、物語が進むと、砂鬼一家との出会いの場面が描かれる。
桓騎は元野盗だから残虐行為をするという因果関係は間違いでいることがわかった。
親に売られたりして集まった偲央率いる集団であった砂鬼一家は弱い立場にあった。
桓騎は今後、誰一人傷つけられないようにするため、人が誰もやらないこと(死体をもてあそぶほどの残虐行為)をやることで、恐れられる砂鬼一家に変貌させた・・
桓騎は、過去を振り返るのではなく、この先(未来)を変えるために、砂鬼一家を導いたのだ。
この考え方は、未来に目を向けている点で、目的論といってよいのでは⁉
原因論にとどまっていたら、桓騎は単なる極悪非道のキャラで、人気もそこそこに留まっていたでしょう。
桓騎の行動は「常に未来に目を向けており、勝利につながっている」から、人気があるんだと私は思います。
「勝つため、生き残るため」という未来に視点をおく桓騎は、目的論を重んじ動いている代表といえるでしょう。
一見、無駄な行為にみえても、いつも勝利につながっている・・
黒洋の戦いでは、紀彗を揺することで、自分の被害を抑え、完全勝利に導いた桓騎・・・
砂鬼一家の残虐行為だって、人の体について学ぶ経験になり、味方部隊の医療部隊として、どれだけ味方の命を救っただろうか・・・
原因論と目的論を理解して、首切り桓騎の実態を考察すると、とっても面白いので、おすすめです。
まとめ
原因論と目的論をまとめると、以下のようになります。
| 項目 | 原因論 ~過去志向~ | 目的論 ~未来志向~ |
|---|---|---|
| 視点 | なぜそうなったか? | 何のためにそうするのか? |
| 強み | 分析的で納得感がある | 能動的で変化を生みやすい |
| 弱み | 過去に縛られやすい | 現実を軽視しがちになる |
| 適した場面 | 振り返り、反省、分析 | 目標達成、意思決定、改善 |
このように、自他と問わず、人の行動の理解には、原因論と目的論はどっちも必要ということになります。
まとめると
となりました。
キングダムには、キャラの生い立ちや過去の回想シーンもたくさん出てきますし、未来志向の言動も多く描かれています。
つまり、キングダムは原因論と目的論を学ぶ良い題材ということです。
「各キャラが原因論と目的論、どっちを重んじて動いているか」
「このキャラは目的論に切り替えたら現状打破できるかも・・・」
今回は紹介しきれておりませんが、羌瘣の変化なんかはその典型ですね。
皆さんも原因論と目的論をキングダムを通じて学んで、主体的な人生を手に入れましょう。




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