宜安の戦いは、秦が趙の王都邯鄲を追いつめるために、北にフタをする戦略を考えたことがきっかけで起こります。
そのフタをする場所が宜安。
秦と趙がぶつかり、昌平君の大号令で、秦北部の大軍勢も参戦。
秦軍は奇策を打ったつもりですが、天才李牧からは完全に読まれており、秦軍とっては厳しい戦いになります。
一方、勉強の材料としては、宝の山なので、今回紹介していきます。
宜安の戦いで使われているランチェスター戦略とは⁉
宜安の戦いで多様されている戦略が「ランチェスター戦略」です。
第一世界大戦の際に、イギリスのフレデリック・ランチェスターが提唱した戦略理論です。
元々は、兵力数と武器の性能が戦闘力を決めるというもので、軍事で使われた法則です。
今はビジネスの世界でも多用されています。
ランチェスター戦略の基本は、弱者の戦略と強者の戦略のふたつに分かれます。
接近戦・局地戦では武器が優秀であれば、人数が少なくても勝利につながることを意味しています。
兵力数 8人 × 武器性能 3 =戦闘力24
兵力数 5人 × 武器性能 5 =戦闘力25 →勝ち
広域戦では武器が優秀であることよりも、人数の差が如実に出ることを意味しています。
兵力数 8人の2乗 × 武器性能 3 =戦闘力192 →勝ち
兵力数 5人の2乗 × 武器性能 5 =戦闘力125
これを企業の販売活動に置き換えると、
兵力数=営業や販売員の数、広告費
武器性能=商品力・マーケティング
となります。
要するに、市場をよく知って強い商品力を、人で売りまくったり、広告を出しまくったりすれば、販売力が強いということですね。
企業の販売活動におけるランチェスター戦略
人数・広告(量) × 商品力・マーケティング(質)=販売力
弱者と強者では戦い方がまったく変わってきます。
どう違うのか、いよいよキングダムの宜安の戦いを通じて、紹介していきます。
ランチェスターの強者の戦略
宜安の戦いは李牧の誘い込みの策により、秦軍14万人 対 趙軍31万人、平地で秦軍が包囲された状態で開戦となります。
李牧は強者の戦略で一気に秦軍をつぶしにかかります。
<引用 キングダム 66巻> 詰んだ盤面を演出した李牧
<引用 キングダム 66巻> 数で圧倒される桓騎に打開策無し⁉
秦軍の総大将は桓騎。
平陽の戦いでの敗戦と桓騎による捕虜10万人虐殺の趙軍の恨み・・・
超軍の士気の方が高く兵力以上の差だが、ひとまず単純に兵力を数字にして、武器が同じ3と考える
ランチェスターの公式(広域戦)
秦軍=14万の2乗 × 武器 3 =576万
趙軍=31万の2乗 × 武器 3 =2,883万
「数で圧殺する」と断言する李牧は、ランチェスターの強者の戦略をとっていたのだ。
しかも、森や山もなく、隠れたり逃げたりすることもできない場所が、この宜安。
完全に弱者の立場となった桓騎は果たして・・・
兵力が少ない方に、地の利や練り込まれた策略があれば、可能性はあるのですが、それすらも超軍側にある状態です。
半年以上かけて誘い込みの策を準備した李牧と、不穏を感じつつもいつものノリで奥まで侵略してしまった桓騎。
宜安の戦いは。まさに超軍が圧倒的有利な状況で進みます。
ランチェスターの弱者の戦略
包囲された桓騎軍はそのままでは一方的にやられるだけになります。
河了貂や蒙恬は目の前に対処することでいっぱいで何も動けませんでしたが、本能型の信はいち早く動きます。
反対側の楽華隊に合流する飛信隊 <引用 キングダム 66巻> 局所的だが優勢な場所ができた左翼
開戦後、いつもの信なら、乱戦に自ら入っていくが、「このままでは火が消える」と考える。
信は持ち場の右翼から離れ、左翼の楽華隊と合流。
強引だが秦軍に優勢な場所を作り出した。
ランチェスター戦略の弱者では、”一点集中主義”の戦法ととるとよいと言われている。
飛信隊と楽華隊が協力して、李牧包囲網から脱出を図る・・・
第一次世界大戦のときに唱えられたランチェスターの弱者の戦略を、信が先だって実行していたということになります。(というより原先生がそう描いたということですね)
肝心の総大将桓騎は、本陣はほぼ動かずのまま・・・
いよいよ丸裸になったところで、見たことない陣を敷き、相手をおちょくるような無駄な動きを繰り返します。
<引用 キングダム 67巻> 桓騎軍が有利となる暗がりを待っていた桓騎
軍司の魔論が「いい加減に・・このままじゃ・・」としびれを切らしたところで、作戦の種を明かす。
何もしなかったのではなく、なんと時間の無駄使いをしていたという・・・
桓騎と魔論の会話はまさにランチェスターの弱者の戦略をそのままといっていいほど丁寧に説明している。
少ない人数で勝つには、有利な場所で戦うことが必要。
元野党の集まりである桓騎軍は、暗闇を得意とするため、大きな武器となるという。
暗がりによって、桓騎軍の武力はあがり、趙軍の武力は下がる。
ランチェスターの公式(接近戦)としてみると
桓騎軍=推定5万 × 武器4 =20万
趙軍左翼=推定10万 × 武器 2 =20万
この数値を見ると局所的には桓騎にも勝機あり⁉
桓騎は武の真骨頂、ゼノウ一家を投入し、脱出を図る。
桓騎は何もしていないようで時間稼ぎをして、武器となる暗闇になるまで待ちながら相手が手薄のところをみつけ、一気に脱出をしました。
ランチェスターの弱者の戦略で、有効戦法である「陽動作戦」「一点集中」を実行したのです。
見事、局地戦では(包囲網から逃れたという意味で)桓騎は勝りましたが、全体としては、圧倒的不利な状況は続きます。
<引用 キングダム 68巻> 肥下で残虐をすると宣告する桓騎
李牧包囲網から脱出した秦軍は、宜安城を上手くとる。
しかし、河了貂レベルの凡人が考える行動(籠城等)はすべて李牧に読まれてしまう。
袋のねずみ状態になった桓騎軍を、李牧が一気に包囲する(ランチェスター強者の戦略)。
ここで桓騎の陽動作戦(ランチェスター弱者の戦略)。
桓騎は宜安城を捨て、一般庶民が大勢いる肥下で、残虐をすると宣告する。
そして、肥下城が燃えていると錯覚させ、超軍に冷静な判断をできない状態にした。
<引用 キングダム 68巻> 李牧本陣と局地戦に持ち込む桓騎の作戦
肥下に急いで救援にいく超軍は軍が混乱し、まばらに散る。
狭い森林ルートに入ったところで、桓騎は李牧本陣に奇襲⁉
ランチェスター弱者の戦略の有効戦法「局地戦」に持ち込む。
一気に李牧の首を狙う桓騎軍。
警戒していたにも関わらず、桓騎の策にはめられた李牧は果たして・・・
桓騎は元野党ならではの突飛な策を多用しているイメージが強いですよね。
こう振り返ってみると、「ランチェスターの弱者の戦略」を誰よりも忠実に使っている教科書通りの将軍なのではないでしょうか?
まとめ
このように、宜安の戦いでは至るところに、ランチェスター戦略が使われております。
完璧な準備と圧倒的な戦力押し切ろうとする李牧に対して、桓騎はランチェスター弱者の戦略を使って逆転を狙います。
ランチェスター戦略では、競合局面においてNo1主義が最も大事といわれています。
と考えるのが一般的のようで、強者となるのがビジネスの定石です。
とはいっても、中小企業はすぐにNo1になれませんので、特定の分野で差別化し、その分野でNo1となる戦略を打つことが必要と言われています。
シェアNo1でないは企業は、商品、流通(販路)、顧客、戦法のいづれかで差別化し、この点ではどこにも負けないという状況をつくることが重要です。
今回の記事で、ランチェスター戦略に興味を持った方は、ここでは紹介しきれませんので、ググってください。
「とにかく桓騎が好きです」「李牧尊敬してます」という方は、もう一度、キングダム宜安の戦いを読み返してましょう。










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